2021年秋にpurjeの2人と初めて出会った。すぐに打ち解け合えたのは、彼らが持つカルチャーに対しての思いが僕たちのものととても近く感じたからだ。地奏vol,1に参加してもらい、イベントの意図をすごく深く読み取って共感してもらえた。そこからvol,2で食事の担当を依頼し快諾してもらう。開催ギリギリのタイミングで大まかなコンセプトやイメージを伝えたら、それを彼らなりの解釈で僕たちの想像や期待を軽く超えるもので応えてくれた。
遠くない未来に奈良を離れる僕たちが奈良に帰ってくる理由を作るために音欒をpurjeと企画した。
ところで普段の営業に穴をあけてでもイベントを開催するメリットはどこにあるのだろうか。イベント開催はとても負担とリスクが大きい。ちゃんと収益につながらない。今回は特に電気も、水が使える洗い場も、トイレもない、食事をする社務所は長年使われず蜘蛛の巣や虫の死骸と土埃にまみれている。イベント当日だけでない膨大な準備と手間。purje高橋さんが準備中にぽつりと「なんでイベント続けてるんですか」と言った。あれ、なぜだろう?そもそも誰かに請われたわけでもなければ、誰かを喜ばしたいとか自分はそんなにサービス精神旺盛な性格ではない。食事も音楽もその時、その場にいた人の記憶に残るだけ。あとは何の形にも残らない。映像や写真などの記録は残せてもすべてが伝わるわけではない。でもそれがやりたいことだから、それが見たい景色だからとしか言いようがない。それを通してpurjeの2人と出会えたように深く共感し合える誰かと出会うためなのか。いや、そんなすごい出会いを毎度期待しているわけではない。ただやりたい、それしかない。
purjeの2人は最後まで一緒に走り切ってくれた。僕たちが先頭にたったり彼らが先頭にたって僕たちを引っ張ってくれたりしながらパートナーとして最後まで本当に心強かった。終わった直後は正直に言ってこんなシンドイことは当分したくないの一言。2日経った今は何か大きなことを成し遂げたのかもしれないという実感めいたものがじわりと胸の奥に広がっている。SNSには参加して下さった方々のうれしい感想が上がっている。それもいつか消えて何も形に残こるわけではないけども、そういう反応が僕たちにまた次回もという勇気を与えてくれる。
そしてpurjeと僕たちはどんな景色を見たかったのだろうか。
現在の私たちが今ここで見ている風景と、歴史や風土を調べ過去の人々の生活や風習を知り、想像力を膨らまして見えてくる風景のレイヤーを重ねると、そこに今の私たちと過去の人々に共通する根源的な喜びや営みの姿が、おぼろげながら立ち上がってくる。
目の前の食事がただ美味しいとか、今聴いている音や音楽にただ癒されるというだけでない。私たちに生きていく指針をしめすような、多様性とはどういうことかに触れるような、そして自然への畏敬の念。そんな景色を人々と一緒に見て実感を持って共感し合いたかったのだろうと思う。
purje
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