-報告- 9/21 sat. オオルタイチ×五味岳久×曽我大穂 『エンディングテーマ』

listudeが奈良のスペースで行う最後のイベント『エンディングテーマ』が9月21日行われました。

出演者には、オオルタイチ五味岳久LOSTAGE)、曽我大穂(仕立て屋のサーカス)と奈良出身の3人のアーティストを招き、3人が描く『エンディングテーマ』というステージを自由に表現してもらいました。
3人で演奏を行うことも初めて、五味さんに至ってはバンド以外でのセッションが初めてということで、方向性も含め2日前にはlistudeにて打ち合わせも兼ねたリハーサルが行われました。それぞれが持ち寄った楽器や音楽性などを用いながら「こんな風にしていこう」などセッションを重ね、本イベントのテーマである「エンディングテーマ」を模索していく様子は、なかなか見ることができない音楽のはじまりを目撃してしまったように思い、これから何が始まるんだろう、と胸の高鳴りを抑えることができませんでした。

リハーサルを踏まえた本番当日。イベントは休憩を挟み、前半と後半に分けられ構成されました。前半は、五味さんのギター弾き語りから始まり、曽我さん、タイチさんとまずは3人各々のステージを演奏していきます。ギターをかき鳴らしながら、情感たっぷりに歌い上げる五味さん。




テーブル一杯に置かれたあらゆる楽器たちを巧みに操りながら、まるで映画を観ているように音を重ねていく曽我さん。






ギターを弾きながら優しい声で語りかけるように歌うタイチさん。




3人のめくるめくステージはジャンルこそバラバラだけれど、どれも唯一無二で、それぞれが奈良を拠点に重ねてきた音楽シーンが集結したように感じ、胸が熱くなりました。


後半、会場の熱気はそのままに3人のセッションへ。静から動、動から静を繰り返しながら、遠くに散らばっていた3人それぞれの点が次第にひとつにまとまり、音楽を形作っていく様子に会場中が前のめりになって聴いている様子が感じられ、ものすごい一体感をつくり上げていました。ギター、ベース、トライアルグルなどを用いながら、真剣な表情で奏でていく五味さん。ピアノ、マスカラ、シンセサイザー、フルート、詩の朗読などたくさんの要素を盛り込みながらも、独自のスタイルで奏でていく曽我さん。太鼓、シンセサイザー、ハープ、ギターをかわるがわる演奏しながら、静かな表情で熱い音楽を奏でるタイチさん。数日前までは、ぎこちなさも残る3人だったのに、あっという間にエモーショナルなエンディングテーマが完成していることに、改めてプロの音楽家魂を目の当たりにしました。












セッションは次第に大きくなり、気がついたらタイチさんは大きな笹を両手にそれらを振り音を奏でていて、曽我さんは連なった布たちをタイチさんに被せたり、会場内に縦横無尽に張り巡らせたり、五味さんは変わらずずっと真剣な表情でベースを弾き続けていたりと、カオスな状況に。即興的に作り出される音楽は、3人がお互いを見合いながら呼吸をあわせ奏でられていて、その予定調和にはないギリギリの精神力と集中力に、会場中の熱気もさらに高まり、まるで熱に浮かされているかのような、夢のようなひとときとなりました。




別れの切なさと、3人の見たこともない神々しく荒々しいセッションと、会場中の色々な感情が音やパフォーマンスとなり、入り混じって見たことも聴いたことも体験したこともない濃厚な3時間を、嵐のように駆け抜け終わったエンディングテーマには、清々しい余韻を感じました。超満席となった70名の熱気はとてつもなく熱くて、全員汗を滴らせながら手を握りしめ、音に、空気に、夢中でステージを観続けたことと思います。

会場内では、五味さんの弟さんが営む奈良の居酒屋korekaraのフードと、宇陀のレストランPurjeのドリンクも用意され、奈良の大好きな人たちを一堂に会したこのスペシャルなイベントを耳からも胃袋からも感じられる日となったことと思います。


listude奈良はこうして、とんでもないステージを残してなくなった気がしました。

この余白を山梨へ。
とびきり素敵に送り出してもらったような気がします。

奈良でご出演くださった音楽家、アーティストの皆さま、お越しいただいたお客様、この空間に携わってくださった全ての方たちに心から感謝しています。

Photo by 井上嘉和

recent posts

Pagetop