東京・BOOK AND SONSの姉妹店としてできた神戸・THE BOOK END。神戸の海岸通りに面した歴史あるこのビルのこの一室にて、10月24日から11月4日まで、写真家・濱田英明さんの展示”Resemblance of time”が開催されました。
展示最終日の11月4日には関連イベントとして、会場音楽を担当された森山公稀(odol)さんのアンビエントコンサート「アンビエント森山 vol.3」が行われ、よりリアルに作品と音楽がリンクする特別な空間に、今回音響として参加いたしました。
「時間の面影」をテーマに、濱田さんがデザイナーから写真家に転身して以来、一貫して追求し続けてきた「撮る」という行為の意味について、より深く掘り下げ、新しい形で表現した展示は、誰もが目にしたことがある何気ない日常を様々な角度から切り取ったものが多く、どこか懐かしい気持ちにも。額縁の中で、白の余白を残しながら鮮やかに流れゆく作品の中の日常は、どこにでもあるリアルな風景なのに、濱田さんのフィルターを通すことで、ストーリー性を持った新しい景色として目の前に蘇り、また新たな時間を重ねているようにも見えました。別室で公開された30分の映像は、それらひとつひとつの作品を大きな1つの映像に編集し直したもので、森山さんのアンビエントミュージックが、より濱田さんの世界観を際立たせ、深く心地よく楽しみ考える時間となりました。
今回行われた「アンビエント森山」は、森山公稀さんが行うアンビエントに特化したコンサート企画。森山さんがピアノ・シンセサイザーを担当するバンド・odolのMV制作に多く携わってきた濱田さんとの関係性だからこそ実現した特別な企画となりました。
大まかなテーマと音だけを決め、あとは即興でその時の空気感や聞こえる外の音などを取り込みながら作り上げていく45分。「作品を観たり、目をつむったり、寝ちゃってもいいですよ!(笑)」とアナウンスしながら、奏でられた音楽は心地よく変化しながら鳴り続け、スピーカーによって優しく包まれるように音で満たされた空間の中で、お客様も気持ちよさそうに目をつむったり、事前に配布されたQRコードから読み取れる映像を観ながら、と思い思いの時間を過ごしながらその場を楽しんでいるように感じました。
演奏後は、森山さんと濱田さんによる今回の経緯や演奏の種明かしなども。お話を聞いていると、今回の曲にはsin波(サイン波)というピュアすぎて自然界には存在しない音を使われているとのこと。人工的にしか作ることができない音だけれど、どこか感情を揺さぶられるこの音が、濱田さんの写真に合うのでは、と今回採用したという興味深い制作の裏側もお話してくださり、より展示の解像度が高まる貴重な機会となりました。
素敵な再会と、出会いに溢れた特別な一日に参加できたこと、本当に嬉しく思います。ありがとうございました。
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濱田英明「時間の面影 – resemblance of time –」
2024年10月20日(日) – 11月4日(月)
11:00-18:00 火・水定休
– 場 所 –
THE BOOK END
– 音 楽 –
森山公稀(odol)
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アンビエント森山 vol.3 at THE BOOK END
2024年11月4日(月・祝)
【昼公演】14:00-15:00(13:30開場)
【夜公演】17:00-18:00(16:30開場)
– 出 演 –
森山公稀(odol)
– 場 所 –
THE BOOK END