-報告- 2013/7/26(Fri) YCAM10周年記念祭 「THE OPENING LIVE CONCERT」


(all photos by Yoshikazu Inoue)
山口情報芸術センター[YCAM]の
「アートと環境の未来・山口 YCAM10周年記念祭」
アーティスティック・ディレクター 坂本龍一氏が
自ら出演する樹木の生体電位によってサウンドが
生成されていくインスタレーション
「Forest Symphony(フォレスト・シンフォニー)」
のシステムを応用したソロ・パフォーマンスの様子を
リポートします。

このイベントは10周年記念祭の幕開けを飾るもので、この日から坂本氏がYCAMで発表する、
新作インスタレーション「Forest Symphony(フォレスト・シンフォニー)」を皮切りに、
坂本氏が審査員を務める「架空の映画音楽の為の映像コンペティション」へ楽曲を提供した
音楽家、上野耕路氏のメドレーセッション、さらには坂本氏とニューヨークのサウンドアーティスト、
テイラー・デュプリー氏と音楽ユニットILLUHA(イルハ)の3組による即興セッションが行われました。

パフォーマンスの会場であるYCAMの中心にあるホワイエには、
14台の12面体スピーカー〝scenery:02 LIVE version〟が設置され、
それぞれのスピーカーからは、世界各地域から送られてくる樹木の生体電位を変換して
サウンドが生成されています。その土地の地場や太陽エネルギーを汲み取った樹々の音色が
ホワイエ全体に シンフォニーとして融合するという仕組みです。

そのサウンドはとても微細なアンビエントサウンドで、ある程度集中した状態で耳を傾けると、
会場全体をゆっくり風が揺らぐように微妙に音が変化しているのがわかり、
ある時は霧雨がしとしとと降り注ぐかのように、また木の葉がこすれ合うような音が聴こえたり、
まるで地球全体がゆっくり呼吸しているかのような感覚を呼び起こす壮大なものです。

そんな音を会場の上空に感じながら坂本氏のライブが始まりました。
インスタレーションの微細な音と混じり合うかのような繊細な音使いで、
どこまでが坂本さんが出している音かさへも分からない、
いや、そんなことはどうでもよく感じられるように、
次第に会場全体が大きな音のうねりをもってわれわれ聴衆を包み込んでいきました。

小音量でありながらもホワイエの広い空間の中を、ダイナミックに音が前後左右、
膨らんだり、しぼんだりする、その音に心地よく身をゆだねました。

このイベントのPAを担当されたzAkさんと演奏する坂本さんの音に対する感受性が阿吽の呼吸で
やりとりされ、この空間全体のダイナミックな音の動きになっていたのだと思います。
本当に贅沢で豊かな音響体験でした・・・・。

われわれもこのような素晴らしい音響空間の実現の一端を担えたことを誇りに思いつつ、
今後の活動の大きな指針を示して頂けたような、素晴らしい体験をさせて頂きました。
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今回、YCAMのチーフキュレーター阿部一直氏をはじめ、Inter LABOのスタッフの方々の
ご尽力のおかげでこの素晴らしい機会にスピーカー導入頂けました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
本当にありがとうござました。
また今回リポートに使用させて頂いた素晴らしい写真は
フォトグラファー 井上嘉和さん(http://fotologue.jp/inoue-yoshikazu/)からご提供頂いたものです。
重ねて厚く御礼申し上げます。
ありがとうございました!
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【Forest Symphony】
■参加作家
坂本龍一、YCAM InterLab、高谷史郎、矢坂健司
■日時
7月26日 (金) 〜 12月1日 (日)〈火曜除く〉10:00 〜 19:00
※7月26日(金)は、YCAM10周年記念祭「THE OPENING LIVE CONCERT」準備のため16:30以降、臨時閉場
■会場
YCAMホワイエ
■料金
無料
■その他
※10月22日(火)は開館 ※展示会場はオープンスペースとなっているため、
他イベント開催時は、作品を体験することができない時間帯があります。
▼『Forest Symphony』特設サイト
http://forestsymphony.ycam.jp/graph/
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山口情報芸術センター[YCAM]は2003年11月、展示スペース、劇場、ミニシアター、
市立中央図書館を併設する複合文化施設として設立。
コンピューターや通信技術などを使ったメディアテクノロジーを共有プラットフォームとして、
メディアアート作品の展示、演劇、ダンスパフォーマンスの公演、映画上映、サウンドイヴェント、
ワークショップやレクチャーなど、各界の優れたアーティストを山口に招き、最先端のパフォーマンスを発信しています。
YCAMでは既存の優れた作品を紹介するにとどまらず、多彩なアーティストと
「YCAM InterLab」という制作セクションがコラボレーションを行うなかで、
山口という地域と世界を結び、創造と発信をし続けています。 教育普及活動にも熱心に取り組み、
メディア教育の実践の場として、 また優れた才能による国際的な
ネットワーク構築のための交流の場としても実績を重ねています。
▼山口情報芸術センター[YCAM]オフィシャルサイト
http://www.ycam.jp/
▼YCAM10周年特設サイト
http://10th.ycam.jp/ http://10th.ycam.jp/term1/493/
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