-報告-【2014/9/5 第3回目】馬木の寺子屋 -真夏の親子課外授業-「聴く」ことにまつわる観察から創造へのワークショップ@[小豆島]馬木地区

「馬木の寺子屋-真夏の親子課外授業-」3日目は音楽家のTakujiさんをお迎えし、苗羽小学校2,3,4年生と一緒に、誰にでも備わっている最高の楽器「声」と身体を使ったワークショップを実施しました。グループに分かれ、世界中の部族・民衆特有のスキャットをオリジナルのメロディにのせて歌う、参加型コンサート「CIRCLE VOICE」を行い、全体を通して音と音楽への深い理解を促します。



この日の会場は体育館。ワークショップのメインはそれぞれの声と身体を使った内容で
それほどの音量が必要ないため、正面となる左右に一台ずつ”scenery”を配置しました。
体育館は音が響きすぎるのではと懸念しておりましたが、
二本のスピーカーで会場全体に十分に音が回りながらも、スッキリとした響きとなりました。

LITTLE CREATURESなどの活躍で知られるTakuji(青柳拓次)さん。
2010年に沖縄ヤンバルへ移住し、約3年間の準備期間を経て始動した新プロジェクトは、
世界中の部族や民族のメロディーをモチーフにした参加型コンサート「CIRCLE VOICE」というもの。
これまでの活動をミックスして進化させたものを目指し、各地でワークショップなどを開催されています。




まずは今回の「馬木の寺子屋-真夏の親子課外授業-」全体を企画担当する
dot architectsの家成さんがワークショップの趣旨を説明します。
これまで世界各地を旅し、色々な民族音楽や思想に触れてきたTakujiさんによる授業は
きっとこれまで学んできた「音楽」とは違うはず。

年齢、国籍、性別、思想、宗教は問わず、世界じゅうで共有できる「音楽」。
中でもスキャット(意味を持たない詞)は、誰でも簡単に口ずさめるシンプルなもの。
他の皆と共に自然に声を重ね合わせ、今日だけのハーモニーを響かせてみましょう。


まずは皆で手をつなぎ、大きな一つの円を作ります。
そして目を閉じ、ゆっくりと深呼吸。
鼻で息を吸い、口から息を出します。
たったそれだけの行為で気持ちが落ち着き、なんだか耳が開いていくように感じるのが不思議。


そのままの状態で、頭の中で「ありがとう」という伝えたい相手をイメージします。
お父さんお母さん、仲良しの友達、ペットの犬、自然の恵み・・・
各自目を閉じたまま、それぞれが想う相手に感謝の気持ちを唱えます。
手から手へ、お互いの声を感じあう平和な時間が流れます。


その後、自身が出せる一番小さな声で「あー」と発声してみます。
息から声になる瞬間、その際を行き来しながら、今まで意識したことのない「最小の声」に集中します。
続いて、自身が出せる一番大きな声で「えー」と発声してみます。
最初は周りを意識して、そこそこの声量しか出せずにいますが、
気恥ずかしさを捨てたとしても、想像したよりもずっと小さな音量しか出せないことに気付きます。
それが大きな会場だからか、自分の声が人の声に埋もれてしまうからか、
声も楽器と同じで、普段使っていないと出し方を忘れてしまうのかもしれません。



大きな声を出して気持ちも開放的になったところで、
今度は学年・男女をシャッフルして3つのグループに分かれます。
Aチームは右手でフィンガースナップ、左手で自分の胸を叩きながら
「ウ〜ワッハ、ウ〜ワ、ウ〜ワッハ、ウ〜ワ・・・」というスキャット。
Bチームは「ハレハレハレ、ハレハレハレ・・・」という声にに合わせて手をこすり合わせます。
Cチームは「タ〜ラ、タ〜ラ・・・」と音程を変えながらの足踏み。
それぞれが全身を使って自分のパートを覚えます。



どうしても隣のグループにつられてしまうので、1グループずつの練習。
ジェスチャーだけ、スキャットだけなら簡単なのに、それを合わせるとなかなか難しい。
合奏がスタートすると、他のグループにつられまいと、また競い合うように各自どんどん声が大きくなります。


そこにTakujiさんの歌声も加わり、いつの間にかしっかりとまとまった「音楽」に。
意味をもたない簡単な歌詞とリズムからハーモニーが生まれる瞬間、
また「音」が「音楽」に変わる瞬間を、参加しながら体感することができました。
実はこの後休憩を挟んだのですが、休憩中もまだスキャットを口ずさむ子どもたちがたくさんいました。
音楽の発祥を思わせる根源的なリズムとメロディは耳に残りやすく、
自分の身体で「音楽する」気持ちよさは誰にでも備わっているものなのだと実感した瞬間でした。


今度は男女に分かれ、女性が中、男性がそれを囲むように大きな円をつくります。
そして男女がそれぞれ違ったメロディを覚え、Takujiさんの伴奏に合わせて大合唱。
先ほどと違って、男女で分かれることでそれぞれのパートの声色が揃い、
男性の声は近くに、女性の声は遠くに、まるでレイヤーを作るかのように美しいハーモニーが生まれます。
どことなく男性には力強さ、女性には優しさを感じ、より人類の根源的な音楽の喜びに触れたような瞬間でした。
3日間に渡る、苗羽小学校の全学年を対象にしたワークショップはこの日で終了。
成長の著しいこの時期の子どもたちは学年によって反応も大きく違い、
また彼らの素直な態度は私たちにとっても刺激的で嬉しい体験となりました。
あらためまして、今回は地元小学校とご縁をつないでくださいました町長さん、小豆島市役所の皆様、
深いご理解とご協力をいただきました苗羽小学校の校長先生や担任の先生、
また関わっていただきました関係者のみなさま、本当にありがとうございました!
そして4日目へつづく・・・

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