-報告- 2015/10/24 0 Japan Tour 2015 京都公演 @ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川

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ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川で行われた、「0(ゼロ)」の2年ぶり来日ツアー。Polar M、Noahを前座に迎えられた公演は、三者三様の魅力の詰まった、瑞々しい一夜となりました。


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まずは、Polar M。最初の音から、緩やかで変化のある環境音と独特の空気感を残した「らしい」サウンドが広がります。背面には、映像作家・宮永亮さんによる映像が投影。そこには京都の風景を独自のフィルターで通した表現があり、リアルタイムに重ねられていくギターの、停滞して漂ったり、リズムを生みながら前進したり静かに起伏するそれと、リンクしつつ脱臼していくよう。終盤にむかって、シンプルながらタイミングの研ぎすまされたリズムとノイズが重なります。プロジェクションされた京都の風景の移りと意識の中で統合・同期され、独特な時間の流れを体験させくれました。

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2番手は名古屋から、Noah。静かに・微かに絞り出された表情のある歌声がマイクを通し、複雑にレイヤーが重なっていく展開に。歌を強調した聴かせる曲や、声をレイヤーの表面に同化させて、全体の大きな変化の一部としたり。単線のような声ではなく、それ自体が幕のように広がるような声が、スピーカーを通して、会場に包むようなイメージを受けます。何度も重ねられたレイヤーは、もはやひとつひとつの判断ができず、大きなうねりとなって、わたしたちに降り掛かってくるようでした。

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そして、最後は「0」による演奏。後ろのスクリーンには、小津安二郎のサイレント・モノクロ映画『生まれてはみたけれどまるで』(1932年)が上映され、それをタクトとするかのように、はじまります。正確かつ、徹底して構築・再構築を繰り返された展開に、迷路に陥ってしまったかように目をきょろきょろし、頭で展開を追いながら、聴き入ることに。ひとつひとつのパートがムダが出ないようにつくられ、それは削られたというより素直に良いものを並べているという印象のメロディーと音色。耳に落ち着いて残って、やがて剥がれていくような、純朴な響きですらありました。

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Photo by Takehito Goto

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