sonihouseをスタートして14年、そしてスピーカーの製造と販売を始めて11年ほど経った。コツコツと色々な経験や出会いを積み重ねるうちに、”sonihouse = 多面体スピーカー” というイメージが、ありがたいことに少しずつ認知してもらえるようになったと実感する。素直に嬉しいことだ。
その一方で、14年前の始まりは音楽を聴く場をつくること。私たちの活動は自宅でのイベント「家宴」から始まったという認識がだんだんと薄れてきているようにも感じている。sonihouseの”soni”はsonicなどの音を表す言葉、それに “house”(家)を合わせて「音の家」という意味をもつ。音を根本から見つめる場という(コト)のコンセプトから、今はスピーカー工房という(モノ)のイメージが先行するようになっていることに対しての違和感を持ち始めていた。sonihouseの活動は、コトとモノは両輪であると常に意識してきたが、その2つが別々のように捉えられているのではないか。ここで改めて、私たちの活動の根幹である「聴く」を正面に据えて、今後の活動を考えていきたいと思い始めていた。
そんな時、初めて”listude”という言葉が頭に浮かんだ。Listen(聴く)とAttitude(態度・姿勢)を掛け合わせた造語である。この名前であれば、私たちのスピーカー(モノ)とイベントなどの活動(コト)がひとつのコンセプトとして説明できると思った。そして「listude = (積極的な)聴く態度」を新たな屋号とすることで、これからのモノとコトの活動を再定義できるのではないかと感じた。これがlistudeへと改名する主な理由である。
音は「発する」ことよりも「聴く」ことの方がはるかに重要だと信じている。意外と音に関わる人たちが「聴く」ことにそれほど意識的でないと感じる時がある。空間における音楽の取り扱われ方、ライブやイベントなどでの音量の扱いなど(音質以前に)。そこでは音楽があればよい、大は小を兼ねる、に近い感覚で音楽や音が扱われているのではないか。音を「発する」者が「聴く」を本当に意識してこなかったのではないか。そんな問題意識を持ち続けながら今後も経験と出会いを積み重ねていきたいと思う。