-報告- 2024/1/14 Atsuko Hatano Solo Performance [ Voice of the Waves ]

肌寒い日曜日の午後に行われた2024年最初のライブは、listudeでは3年ぶりのパフォーマンスという弦楽奏者/波多野敦子さんによる、5弦ヴィオラとエレクトロニクスのソロコンサートとなりました。

定刻になり、言葉少なに「では、始めます」とヴィオラを手に取った波多野さん。空間のわずかな隙間から静かに流れ出てきたかのようなヴィオラの音色は、波が寄せては返すようにシンプルなフレーズを繰り返し奏で、私たちを心地よい音楽の世界へと導いてゆきます。音色から鮮明に感じられる、その世界の大気の香りや景色、植物の色や水の滴る様子。やがて音はいつしか自分自身の身体の中にもじんわりと沁みわたり、細胞の中を駆け巡りながら生き生きと鳴り響きます。



ダイナミックで、生命力に溢れた今回の演奏は、波多野さんが様々な技法を用い奏でる5弦ヴィオラと、多数のエフェクター、デスク上のパソコンとシンプルなステージセットがあるだけ。たったこれだけの機材から、多彩な音を弾きこなす、波多野さんの表現力の高さと、音楽の豊かさ、そしてそれらが魅せる無限大の可能性に、心をわしづかみにされるような衝撃と感動、そしてこの音楽を目の前で聴けているという幸福感に胸がいっぱいになる80分でした。


コンサート終了後、波多野さんからも「listudeの空間は今までに経験したことがない、自分が理想とする音を出せる空間で、自分の新たな可能性に挑戦できたライブ演奏となり、とても楽しかった」と本当に嬉しいお言葉まで頂き、今まで自分たちが目指してやってきたことへのひとつの答えを頂いたかのような、そんな貴重なライブとなりました。

recent posts

Pagetop