奈良 改築O邸

奈良県・柳生町。築150年の家老屋敷を改修した奥の間に14面体スピーカー”sight”を納入しました。建築家の一見直人氏と棟梁の高橋正和氏による大規模な改修工事により、それまでは湿っぽくあまり足を踏み入れなかったという山際の部屋が見事に生まれ変わりました。もともとあった石垣と清野陽介氏による苔庭を臨む部屋は心地よい風が抜け、虫の音や鳥の声など自然の音が存分に入ってきます。スピーカーから音楽を流せば音が石垣に跳ね返り、それらが一体となって響き合う、唯一無二の音空間。

スピーカーの表面は、黒谷和紙漉き師・ハタノワタル氏による特注の和紙仕上げです。部屋の床も一面、同氏による和紙貼りとなっており、光を含んだ柔らかな素材は息をのむ美しさ。どことなく、あたたかみのある音に感じます。

長い年月守られ、積み重ねられてきたものに、改修で加えられたものが重なり、この場、その時にしか感じることができないものになる。建主は、朝食後、この部屋で音楽を聴いて過ごしているそうで、「幸せな時間です」とおっしゃられているとのこと。

この素晴らしい改修の記録は『住宅建築』2023年4月号で取り上げられています。よろしければ是非ご覧ください。

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