-報告- 3/5,6 「おちゃかい? -音を愛でる-」@大山崎山荘美術館 茶室


大山崎山荘美術館 茶室で行われた
「おちゃかい? -音を愛でる-」と題したレクチャーは
2日間とも定員の15名を超える参加者にお集まりいただき、
楽しい(?)音響の世界を垣間見ていただきました。
当日のその様子を少しご紹介します。


さて、当日は気持ちの良い晴天に恵まれたものの、
京都大山崎の底冷えが沁みる寒い一日でした。

山荘の庭園の中、小高い丘の上にひっそりと
趣良く佇む素晴らしいお茶室です。


さすがお茶室。室内の陰影も美しいです。
この空間を味わえたことだけでも満足ですね。

立礼式のお茶室ですので、石畳の床に炉が切られています。
一段上がった畳の上にスタンドを使って12面体スピーカー”scenery”を設置しました。
プリメインアンプ+CDプレーヤーに使ったのは、LINNのClassikです。
今回のレクチャーでは音楽の音色だけではなく、音の手触りである「音触」まで感じてもらえるようにと
設置には少し工夫(オーディオマニア的に)しました。
室内の広さもそして雰囲気も、グッと集中して音楽を聴くのに最適な空間ですね。

床の間に見えるのは、今回のレクチャーの為に手に入れたと噂される
名器 Thorens TD-124 Mk2 + SME3009 S2 Improvedです。
お茶室の床の間にぴったりですね。(意味不明)
そんな呪文のような型番の有難さを理解できるマニアな方は今回の参加者にはいなかったようです。

いよいよ、ナビゲータの現代美術作家の小山田徹さんにより
和やかに会は始まりました。

まずは今回の主役、12面体スピーカー”scenery”の特徴を解説中です。

そして、僕なりの「音の愛で方」ということで、普段の意識的な音楽の聴き方をご紹介しました。
2部構成とし、Part,1を「音として音楽を捉える」と題して
音楽を感情として捉える聴き方ではなく、音そのものの集合として捉えることを意識して
聴いていただきました。
1,rechenzentrum “Director’s Cut”

2,砂原良徳 “SUBLIMINAL”

3,SND “Atavism”

4,J.S.バッハ “平均律クラヴィーア曲集第1巻Ⅰ”
-グスタフ・レオンハルト<チェンバロ>

5,Telefon Tel Aviv “Fahrenheit Fair Enough”

6,Cornelius “Sensuous”

7,マーラー “交響曲第5番”
-エリアフ・インバル<指揮> フランクフルト放送交響曲楽団

Part,2は、「空間の音を聴く」と題し、音楽から再現される空間を感じながら聴いていただきました。
具体的な空間の広さを感じながらも、現場そのものの空気感や、その場のドラマを想像しながら聴くというものです。
1,ヘンデル ”オルガン協奏曲全集 第1巻”
ルドルフ・エヴァーハルト<オルガン>,ラインハルト・ペータース<指揮>,コレギウム・アウレウム合奏団
2,パリ・ノートルダム楽派の音楽とランス大聖堂の音楽
テラー・コンソート・ロンドン,コレギウム・アウレウム合奏団
3,カーメン・マクレエ,デイブ・ブルーベック”TAKE FIVE”

4, マイルス・デイビス ”Kind Of Blue”

5,ジョアン・ジルベルト ”in Tokyo”

6,Town & Country “Town & Country”

7,J.S.バッハ ”マタイ受難曲”
ニコラス・アーノンクール<指揮> ウィーン・コンツェンツゥス・ムジクス


音楽を彫刻作品として楽しむことや、短い音の変化をとても細かく聴き取ること。
電子音とアコースティックな音の差異を意識すること。
あるいはライブ会場の観客のざわめきだけに意識を集中して聴くこと。
録音スタジオの室温を感じることやプレーヤーの緊張具合まで感じること…など。
参加者の皆さん、終始とても集中して音楽を聴いて下さいました。
なかなかこのような音楽の聴き方を普段意識することはないと思いますので、
皆さんとても新鮮な体験だったのではないでしょうか。
“scenery”という単語の意味である、「風景」・「景色」・「背景」を、それぞれの音楽で
感じて頂けたのではないかと思います。

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