-報告- 9/11 sun. ワークショップ「音楽の背景に耳を澄ます」@大阪 graf bld.4F


大阪・中之島を拠点にあらゆる分野の暮らしに関わるデザインに取り組む
クリエイティブユニット「graf(グラフ)」が、、オリジナルファニチャーシリーズ
「Narrative(ナラティヴ)」の新作家具を発表しました。
それに伴う関連イベントとして、9/11(日)に山崎真央さん(gm projects / AKICHI RECORDS)と
sonihouse 鶴林のワークショップ「音楽の背景に耳を澄ます」が開催されました。


「Narrative」とは直訳すると「物語」という意味になるそうです。
つまり人は家具に集い、そこで共に日々語り合い、成長していく。
そんなコミュニケーションの循環をうながす装置としての家具。
sonihouseのスピーカー”scenery”も音楽を奏でることで、
その場のコミュニケーションの循環をうながす装置・メディアとして機能することを
コンセプトとしてワークショップなどの活動を行っています。
そんな思いが今回grafと山崎真央さんの活動とリンクし、
このような素晴らしい機会を持つことができました。

今回、ご一緒させていただいた山崎真央さんは、現在gm projectに属し、自らのレーベル“AKICHI RECORDS”を運営されています。
20年にもなるDJ(選曲家)活動を通して世界中から最新のあるいは過去から独自に掘り起こした良質な音楽を人々に伝えることを続け、
その研ぎ澄まされた選択眼(耳)は多くの音楽愛好家の尊敬を獲得しています。
タイトルである「音楽の背景に耳を澄ます」とは、普段聴く音楽には実は奥に広がる豊かな物語あり、
それをお互いに紹介し合い、皆で共有するという意図で付けられたタイトルです。
真央さんの音楽への深い造詣と、豊富な経験に頼った企画であることは明らかです。(笑)


当日は、僕の愛機であるレコードプレーヤーのTHORENS(トーレンス) TD-124 Mk IIも持込み万全を期します。

満員御礼の定員15名の参加者に集まっていただき、和やかな雰囲気で会がスタートしました。
まず鶴林がはじめにご紹介したのが、今回の企画にも携わっていただいたgraf小阪さんのリクエストで
ピアニスト グレン・グールドの有名な演奏中の”鼻歌”をじっくりと聴いてみたいということでセレクトしたレコード。
Bach(バッハ):The Two and Three Part Invention(インヴェンションとシンフォニア)
“Sinfonia No. 1 in C Major, BWV 787”
ピアノ演奏:グレン・グールド (Glenn Gould)
1964年3月18・19日録音
このレコードは”鼻歌”以外にも聴きどころがあり、この録音はグールドが32歳の時、人気の絶頂の最中、突然コンサート活動の中止を宣言した年に重なります。
しかもこのレコーディングでは、グールドがこだわりにこだわったピアノのタッチ(:触感)の調整に半年を掛けやっとの思いで録音された作品です。
このタッチにこだわったピアノの音色が、その独特なピアノ演奏と言われるグールドの個性につながります。

この後、真央さんによってオーガナイズされた、とあるピアノのライブの演奏を聴き、
実際の現場の様子や雰囲気などを詳しく説明していただいたり、
僕は、日本-韓国-ベトナム-バリとアジアの国々の弦楽器演奏を順番に聴き比べ
各国の音の間のとり方の違いや音楽からその生活を想像し話し合ったり、
真央さんによるYMOの1stアルバムの国内オリジナル盤と、アメリカで再ミキシングされて
世界で発表された1stアルバムの聴き比べて、どれくらいYMOが計画的に世界進出を果たしたかの解説、
あるいは現在イギリスで大ブレーク中の話題のアーティスト ジェームス・ブレイクの曲を聴き、
そのブレークの背景に何があるのかの解説などなど・・・。
お互いに音楽を紹介し合い、気が付けば予定を1時間半オーバーするほど話は盛り上がりました。

当日の僕のプレーリストです。
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1,Bach:The Two and Three Part Invention(インヴェンションとシンフォニア)
“Sinfonia No. 1 in C Major, BWV 787”
Piano:Glenn Gould
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2,シューベルト:楽興の時 第1番 ハ長調 聴き比べ
アルフレッド・ブレンデル(1931年 -)チェコ オーストリア在住 ’72録音
内田光子(1948年 -)日本 英国在住 ’01録音
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3,Eric Dolphy
LAST DATE ’64
“Miss Ann”
オランダでのライブ(ベルリンの病院で急死する27日前)
36才で糖尿病による心臓発作のためベルリンで急死。
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4,,
・琵琶劇唱~鶴田錦史の世界
“俊寛”
・韓国(からくに)熱唱~散調と唱
“コムンゴ散調”
・「絲・南哀~ベトナムの弦楽器」
“メドレー”(ダン・チャイン、ダン・グェット合奏)
 
・音の世界遺産 小スンダ列島のササンドゥ~椰子の葉の調べ
“カカ・フィランダ”
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5,First Time  ’61録音
“Battle Royal”
Duke Ellington Orchestra / Count Basie Orchestra
(Produced By Teo Macero)
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その後、また気分を変えて、会の後半では、音から感じる質感や量感を、耳で見て目で聴いて、
そしてその音を絵に描いてみます。




皆さん、童心に返ったかのように一心不乱に画面に向かい自由に描いています。

音の動きの感じ方は本当に人それぞれですね。
そんな中でも照らし合わせたようにやはり同じようなものを感じている方もチラホラといたり。
真央さんがコンピュータを使った実際の音楽制作が今回のように
絵を描くことに近い感覚があるとおっしゃっていたのが印象的でした。

今回、初めて対話形式のサウンド・ワークショップを行いましたが、参加者の皆さんと真央さんの温かいお人柄のおかげもあり
僕が思い描いていた理想的な音楽の共有の場になったような気がします。
もちろんその土台として会場であるgrafが日々そのような居心地の良い空間作りにスタッフ全員で真剣に取り組んでいるからということもあります。
grafの皆さんにはぜひ次回も開催していただきたいです!お願いします~!

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