2015年 新スペース設立の記録(8)【完成】

2016/1/17

【ご報告 1F】



先日無事に、新しいスペースのこけら落としを記念する「家宴-IEUTAGE-」4週を終えることができました。
まだまだ改善したい部分や、増やしたい設備などたくさんあり、「完成!」と言い切るのは難しいですが、ひとまず半年間にわたるリノベーションの成果として、できあがった空間を報告させていただきます。
改めて、ここは10年ほど前まで営業していた「左馬寿司」というお寿司屋さんでした。1Fはカウンターと4人がけの座敷席が2つ、奥には厨房、そして特大冷蔵庫が鎮座する倉庫へと続いていました。2Fは最大で40人ほどの収容可能な広さの宴会場で、3Fは住居になっており、入口のガレージの上にも離れの住居があります。
1Fの厨房、倉庫はアトリエ部分としての使用のため大幅な改装は行わず、1Fのエントランスとなるカウンターと2Fまでのアプローチ部分、そして今後さまざまな演奏やイベントが行われる、2Fの全体をこの半年間かけて工事しました。1Fは、お客さんを会場へと誘導するアプローチということを心がけ進めました。なにより、中央に空間を区切るカウンターを、エントランスのカウンターとして使うため、10年間放置されていた痕跡をぬぐいとるべく、和風な壁紙を剥がし、余計なつくりを壊し、ペンキを塗り重ね、玄関も建具屋さんにつくり直していただきました。ガラス張り木枠の引き戸は、一見怪しい(!)元お寿司屋さんの雰囲気をかき消す、効果的な緩衝材となりました。
もちろんその手前の、ファサードでも、真鍮による屋号がバチッとはまっています。のっぺりした白壁とタイルの壁面に、ぴりっとしまる真鍮は、ゆるやかに緊張感があります。この建具と看板が整うことで、場所の個性が強く表明されているように思います。
カウンターの中には、フローリングを敷き、机が置かれ、デスクワークが行えるように。そう考えると、カウンターの中で仕事(寿司をにぎり)をし、お客さんを迎え、2Fの元宴会場で演奏会(カラオケ)や家宴などでの食事(お寿司)が振る舞われるという、使い方自体はかつてのお寿司屋さんとはそう変わっていないかもしれません。

2016/1/17

【ご報告 2F】





かつての、お寿司屋さんの2F 宴会場。夏のはじまり頃に、部屋で区切られた宴会場を、ひとつの大広間にすることから作業ははじまりました。その後は、なにより理想的な音環境のため、時間をかけて入念につくっていきました。吸音材がつまった壁面は、本来の位置よりそれぞれおよそ30cmずつ内側に迫り、床は捨て貼りとゴムシートでおよそ5cmほど上がっています。夜になると、照明のほのかな灯りが、教会のそれにちかい雰囲気を演出してくれます。
そして、こっそりつくっていた椅子。「家宴」で使うお客さんのための席であり、食事のときにはちゃぶ台の高さに、二段重ねれば棚になり、ちょうど立食にもよい背丈にもなる、万能椅子です。
2Fを見渡すと、前の持ち主が増築した際に生まれた室内の外壁や、和室のためにつくられていた柱などの無用の構造や、いまは動かない料理運搬用のエレベーターなど、用途のない要素もいくつかあります。こういったものは、リノベーションならでは、まっさらな新築ではありえないものとして、楽しんで残しています。いずれこれらの無用の要素に使い方を見出し、このスペースの特徴のひとつになれば、という思惑もあります。
そういったゆとりも含め、sonihouseの改装はまだまだ続きます。壁面の布パネルは着脱可能で、時間をかけて音環境をじっくり練ることも今後あるかと思います。本来「建築物」がそうであるように、使い方とともに空間自体もゆるやかに変化し、育てていければと思っております。
とはいえ、百聞は一見にしかずです! イベントでも試聴の際でも、ふらっとお越しいただけたら幸いです。

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