-報告- 2023/5/16 スワヴェク・ヤスクウケ Piano solo Japan Tour 2023

ポーランドの名ピアニスト、スワヴェク・ヤスクウケ3度目の来日公演、そして初めての奈良公演がlistudeにて行われました。

チケット販売とほぼ同時に完売した満席の客席が息を飲んで見守る中、登場したスワヴェク氏は、日本語で挨拶を行うなど気さくで茶目っ気溢れる雰囲気で、会場内が一気に和み演奏へと進みます。しかし、鍵盤に指を置いた瞬間、「ピアニスト スワヴェク・ヤスクウケ」の奏でられる美しい響きの粒たちが流れるように空間の中を紡いでゆき、その音の繭の中に包み込まれるような、自分自身がその音の中に溶け込んでゆくような唯一無二の心地よさに引き込まれていきます。身体を揺らし、感情豊かに弾くスワヴェク氏の姿は、まるで自身の音の波を泳いでいるよう。時に軽快に、時にまるで寝そべるように、そして時には寄り添うように音を紡ぎます。曲ごとに変わる一音一音のタッチに、それぞれの曲の表情もがらりと変わり、メロディの魅力や心地よさもさることながら、スワヴェク氏自身の音への飽くなき探求とその一音に込める想いに、listudeとしても深く共感し、素晴らしいアーティストに巡り会えたことに喜びを感じました。



今回、listudeに普段置かれているアップライトピアノを使用。調律はアトリエ ピアノピアの小川さんにお願いし、綿密なコミュニケーションを通してスワヴェク氏の音をベストな状態で鳴らすピアノを作り出してくれました。蓋を外し、ピアノそのものが露わになったなかなか見ないスタイルでの演奏でしたが、常識にとらわれず、あの場にいた誰もがよりよい一音の響きを求めていたからこそ、素晴らしい演奏会になったと確信しています。60名というlistudeでは大規模の演奏会でしたが、ピアノを取り囲むようにセッティングし、スワヴェク氏の技法が間近で体感できる至極の空間を演出し、この貴重な一夜を存分に満喫することができました。



今回会場ドリンクは宇陀のレストラン・Purjeに作っていただき、洋梨のスパークリング ポワレを始め、自家製のすももジャムを使ったすももミルク、梅ソーダなどこだわりの美味しいドリンクで、高揚感溢れる皆様の喉を潤わせてくださいました。

終演後も、resonance musicのブースにてサイン会に興じ、みんなと気さくにユーモアも交えながらお話しするスワヴェク氏。久しぶりの海外アーティストとの交流を経て、音に対して同じ想いで活動する音楽家が世界中にまだまだたくさんいることに改めて気づかされるとともに、自身たちもより多くこのような素晴らしい演奏会を作り上げたいと、志を新たにできるそんな刺激的な一夜となりました。



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