-報告- 2023/6/13 マレー飛鳥×北村聡<音と呼吸 sound and breath>

蒸し暑い梅雨の夜、listudeにてヴァイオリン奏者のマレー飛鳥さんとバンドネオン奏者の北村聡さんによる夢のような演奏会が開かれました。
曲目はクラシカルなものから、2人のために作曲されたというものまで、様々なジャンルを縦横無尽に駆け巡り、圧倒的な演奏力で私たちを魅了してくれました。ヴァイオリンとバンドネオン、なかなか馴染みがない組み合わせのように感じますが、タンゴの世界ではそう珍しくない組み合わせのよう。実際に2つの楽器が語り合うかのような滑らかな掛け合いにうっとり聴き入っていると、2つの音色が1つのように聴こえる瞬間もあるほど、この組み合わせの相性の良さを実感しました。曲目の間には、北村さんとマレーさんが曲や楽器の背景を丁寧に説明してくださり、より音楽への理解とリスペクトが深まる充実した時間を過ごすことができました。


2人のために作曲されたという楽曲たちは、それぞれの作曲家たちのフィルターを通して2人の新たな魅力や才能を存分に感じ、ただヴァイオリンとバンドネオンとして聴こえるだけではなく、新しい別の響きとしてそれぞれが新鮮に聴こえてくる不思議な体験となりました。現代タンゴの革命児とも言われるディエゴ・スキッシが作曲したという楽曲では、突如鳴り響く、2つの楽器の弾ける水玉のような音に会場中がびっくり。listudeの音響の効果もあり、どこから鳴っているかわからないようなその音の中に自分が迷い込んだかのような錯覚に陥ります。ダイナミックに、優雅に、時にはワクワクするような楽しい雰囲気を、時には憂いを帯びた、しっとりした音色を、それぞれの世界へと私たちを導き、その想像をはるかに超えたドラマティックな音像にひたすら圧倒された1時間半でした。
タンゴ、というジャンルに囚われず、老若男女だれもが自由に音を楽しむ、まさに「音楽」の楽しみ方を改めて会場中一体となって感じることができた素晴らしい一夜となりました。



会場ドリンクはお馴染み宇陀のPurjeに。この情熱的な夜だからこその、季節を取り入れた爽やかな味わいで、私たちの喉を潤わせてくれました。

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