-報告- 2023/10/14 UFOJI演奏会

国際芸術祭地域展開事業として愛知県西尾市にて行われる「なめらかでないしぐさ 現代美術in西尾」の音楽プログラム『UFOJI演奏会』に音響として参加し、柴田聡子さんとMomさんのPAを担当させていただきました。



当日、西尾市はどんよりとした曇り空。雨が降りそうな天候にも負けず、会場の唯法寺には朝から多くの出店者が続々と集まります。今回の企画者の1人でもある「森、道、市場」の実行委員会の皆さんが元気に誘導してくださったり、参拝にいらした地元の方も「今日は何があるの?」などお声がけしてっくださったりと賑やかに準備は進みます。




13時に開場し、次から次へと来る来場者に交じって色々なお店をのぞいてみると、愛知県の西尾市や岡崎市で活動されているお店の方々がたくさん。暮らしの道具などを揃えた「at the table est 2015」や器など美しいモノを集めた「MATOYA」、草木や花束の「松の舎」やレコードなども売る「銀界」、他にもラーメン「麺の樹 ぼだい」、ちまき「日月屋」、スイーツ「喫茶こまさ」や茨木のり子さんのレシピを再現したハヤシライスを作った「SUNDAY SPAICE」など飲食部門も充実したラインナップにみな目移りしつつ、思い思いの時間を楽しんでいる様子でした。また、「森、道、市場」と共にこの演奏会を企画した名古屋市の本屋「ON READING」も出店し、西尾市にゆかりのある作家・茨木のり子さんの詩集などを中心に書籍の販売も。

15時からは、シンガーソングライター・柴田聡子さんのギター弾き語り無料ライブ。青いチェックのワンピースを揺らしながら、飾らない素朴な歌声と等身大の歌詞、寄り添うようなギターの音色がlistudeのスピーカーを通し、満員の会場内に優しく響き渡ります。合間に挟む気さくなMCでは、茨木のり子さんが大好きと語る場面も。「今回も全集を携えて来ました」とお茶目に話す姿に会場一同微笑みが連鎖します。




何気ない日常が愛おしくなるような柴田さんの歌たちは、曇り空をも吹き飛ばすように人々に沁みわたっていき、会場中が一体となって聴き入る素敵な時間となりました。


続いて、出演キャンセルとなった坂口恭平さんのピンチヒッターとして、シンガーソングライター/トラックメイカーとしても活躍されるMomさんが登場。海外ヒップホップシーンに影響を受けたというサウンドは、ヒップホップのみに傾倒せず、打ち込みを中心にジャンルレスなクラフト感が特徴です。しかし今回は、そんなデジタル感を封印し、がらっと一変アコースティックギターを携え、少し雨もパラつく秋の風吹く会場にて、弾き語りスタイルで歌い上げていきます。細かなギターのニュアンスや、揺れ動く声の感情をも鮮明に聴かせるMomさんの音と、街の音とが一体となったライブはじんわりと心に残るひとときでした。


ライブの最後には、別ステージを控えた寺尾紗穂さんとのスペシャルコラボも!「泣けない人には優しくない世界」を2人で丁寧に奏でる姿に、会場中が胸を打たれ、寺尾さんの澄んだ歌声と、Momさんの憂いを帯びた歌声が絶妙な掛け合いを魅せてくれました。

イベントは、その後も本堂にて寺尾紗穂さんの朗読+弾き語りライブを開催し、運よくチケットを手に入れたお客様は深まる夜の中、素晴らしい時間を過ごしたことと思います。
日常の中で音楽やアートにじっくり触れる時間が少なくなっている中で、この演奏会はそうした機会をくださり、それにより心が温かく豊かになる瞬間を感じることができました。

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