-報告- 2023/10/21 森ゆに “秋の演奏会”

2017年振りの名古屋公演と話す、森ゆにさんのソロコンサート”秋の演奏会”にて音響を担当させていただきました。


listudeは初めての名古屋・ちくさ座。客席がぐるりとステージを囲む円形の会場は、ピアノコンサートでは珍しく様々な角度から鑑賞できるのも面白いポイント。都会の中に突如あらわれる蔦に覆われた外観も印象的な素敵な開場でした。スピーカーはこの会場の中にぐるりと設置し、どこからでも音が自然に響くよう調整し、今回のライブに臨みました。


始まりは静かに。秋の夕暮れを感じさせる『山の夕暮』。太陽が沈む瞬間を息をのんで見守る緊張感のようなものを覚えつつ、しっとり歌い上げるその歌声に会場中が一瞬で引き込まれます。



コロナ禍でなかなかお披露目できなかったと話すアルバム「山の朝霧」の収録曲を中心に、年明けに出るという新アルバムからも数曲。スピーカーを感じさせないピアノのナチュラルな音とゆにさんの澄んだ歌声が重なり、会場の隅々まで美しく響き渡ります。

山梨に住んでいるゆにさんが、「今回山梨から長野で乗り換え、木曽の山々を越えて名古屋まで来ました。」と旅路のエピソードを添えながら歌う『西へ』はキラキラと光るようなピアノの音の粒と、それに合わせた黒田淳哉さんの柔らかくあたたかな照明が、西へ向かう旅路の浮き立つ心情を思い起こさせ、目前に過ぎ去る木曾の山々が見えるようでした。



“秋の演奏会”と名付けられた通り、どこかしっとり秋の憂いを帯びた大人の雰囲気で、時折加えられたピアノのアレンジも、一音一音が艶っぽく心に沁みわたります。移ろいゆく季節の中にある日々の美しい情景や心の機微を捉え、近すぎず遠すぎず見守っているかのように歌うゆにさんの歌は、どこか懐かしく、心に寄り添い身体の中でじんわり温かく溶け込んでいく感覚に。

静かに聴き入る観客席にも愛嬌たっぷりのMCでお話ししつつ、素敵な夜が過ぎていきました。
聴く人の心を捉えて離さない、ゆにさんの魅力に今回も心奪われた1時間半でした。

企画:babooshka/ON READING
制作:subcontaxt
照明:黒田淳哉
調律:三ケ田美智子

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