-報告- 2023/12/9 Shuta Hasunuma “unpeole +1people #06”

名古屋城にて開催された『アートサイト名古屋城 想像の復元』内のイベント、「かやのき音楽祭」スペシャルライブ”Shuta Hasunuma “unpeople +1people #06″”に2023年最後のライブ音響として参加いたしました。




今回、参加のきっかけとなったのは、アーティスト・山城大督さんの名古屋城築城以前から存在する樹齢600年のカヤの木をテーマにした香りの作品。展示期間中、毎日抽出しているというカヤの木のエッセンシャルオイルは、一日ごとに香りがかなり変化しており、わずかな期間でも変わりゆくこの木の歴史や、流れる時間というものについて、考えさせられ、また深く感じることができました。
さらに、その匂いをタイムカプセルとして閉じ込め保管し、未来へ受け継いでいくということで、カヤの木の長い歴史における一点に立ち会えたかのような高揚感がありました。




「かやのき音楽祭」第一部は、カヤの木の樹木医・寺本正保さんと山城さんによるトークセッション。カヤの木をバックに、樹木医の視点から読み解くカヤの木の歴史や特徴などを聞くことができました。名古屋城築城以前から、戦争により燃えてしまった歴史までを、当時の貴重な写真資料とともに分析していくお話はとても興味深く、何気なく通り過ぎてしまいそうなその一本が見てきた歴史の移りゆく様子に、思わず想いを馳せずにはいられませんでした。山城さんがお話の中で仰っていた「この木が吸った600年前の空気を、循環と時を経て今も私たちが吸っている、まさにSOUND OF AIRだ」というお話がとても印象に残りました。

第二部では、同じカヤの木の前にて蓮沼執太さんによるライブパフォーマンスが行われました。



先日蓮沼さんが発表した新しいアルバム”unpeople”のレコードに、蓮沼さんがリアルタイムで音を重ねていくというライブパフォーマンスは、どこからが音源でどこからが今奏でられている音なのか、まるで時の境目に立たされているかのような不思議な感覚に囚われながらも、その流れる音のゆらぎに身体が自然と沈み込んでいく心地よさを覚えました。また、様々な音が積み重なって1つの音楽を作っていく様子は、600年の年月を重ねて今の姿になったカヤの木そのもののようにも思えてきます。

途中、山城さんをステージに呼び、軽いトークタイムを。今回演奏するきっかけともなった2018年の「名古屋城本丸御殿完成公開スペシャルムービー」の楽曲についてなどお話しながら、次の楽曲へ。


ついには、ステージを降り、鍵盤ハーモニカを持ち歩きながら、興味深げに次々と輪の中に入ってくるお客様たちの合間を、練り歩いていく蓮沼さん。次第に暗闇に包まれていく中で、音にあわせ美しく空間を演出する照明の方たちと、実験的な音のあわせ方やリズムを持ちつつも、親しみやすいポップさも兼ね備えた蓮沼ワールドに、虜になった時間でした。

カヤの木が見てきた長い歴史の中で、この1日がひときわ新しく誰かの胸に残る景色となったように思います。

recent posts

Pagetop