アナログレコードの魅力が見直され、最近はオシャレなスピーカー内蔵レコードプレーヤーなどの人気によってレコードを聴くための障壁も低くなりつつあります。しかし「レコードからなぜ音が聴こえるのか?」を改めて考えたときレコードの扱いは非常にデリケートなものだと気付きます。レコードの聴き方に決まりなんてありませんが、sonihouseでの普段の基本的なメンテナンス方法をここに記しておきます。
なぜレコードから音が出るのか?
まず、レコードの原理は非常に単純です。レコードの溝に刻まれたミクロン単位のキズ(凹凸)を硬くて鋭く尖らせた石(針先)で引っ掻き、その上下左右に細かく振動する動きを電気信号として取り出したものが増幅されてスピーカーから音として出てきます。なので、それは単純ですが繊細な構造です。よく観察するとレコードの再生中、落とされた針先から音が聴こえてきます。
*参照:ミクロで捉えたアナログの世界。カートリッジがレコードの溝を滑走している様子を撮影した話題の動画
レコードの持ち方
レコードには基本的な持ち方があります。レコードの盤面には触れないように外周部を親指とその付け根を使い、また中心のレーベルのシールのところを他の指で支えるようにして持ちます。こうやって持つとなんだか通っぽく見えますね。レコード盤をプレーヤーにおく時は両手の指の腹で外周部を支えるようにしてそっと置きます。
気を付けたいのは音溝に指紋が付いたまま放っておくとカビが発生することです。レコードの溝に刻まれているのはミクロン単位の凹凸です。目には見えない小さなカビでも音が濁ることになります。付いている指紋が気になるのであればメガネのレンズ用クロスなどで、くれぐれも盤面の溝の方向にそってキズ付けないように慎重に拭いて指紋を落としましょう。大切な盤は後ほど紹介する専用クリーナーでしっかりクリーニングします。
パチパチノイズが気になるレコードのクリーニングの仕方
ビニールの袋から盤をだした時にパチパチと静電気がたっていることがあります。
静電気のせいで盤面にホコリがくっついていたりします。聴く前には除電ブラシでホコリを落とします。
いろいろとある中でこの形の除電ブラシを以前から愛用しています。明らかに女性用のお化粧ブラシを流用したものなのですが、使うたびにレコードの繊細さをより実感できる道具だな、と使っています。
除電ブラシだけでは取り切れないようなホコリ・静電気が酷い盤は専用クリーナーでクリーニングしてから聴きます。
このクリーナーは中にあるベルベット素材のパッドにクリーニング液を染み込ませ、レコードを両側のパッドに挟んで両面同時にクリーニングする道具です。
以前から片面ずつクリーニングするのが面倒だなと思っていたのですが、これで解決できそうと導入してみました。
盤面の汚れとパチパチノイズが酷い中古レコードで実験してみます。
クリーニングした後の濡れたレコード盤を拭くのは結局片面ずつになるのですが・・・。
これはなかなか良い感じでした。確かにパチパチノイズもあきらかに減り、音がクリアになりました。
カートリッジ(針先)のクリーニング
カートリッジ(針先)には繊細にカッティングされた石(サファイアやダイヤモンド)が付いています。この先端の石が音溝の凹凸をトレースして音がでるわけです。なので目に見えなくても針先が汚れていれば音も汚れてきます。ずっと掃除せずにホコリが絡みついた針先などは問題外で、大切な盤もカートリッジも確実に痛めてしまいます。永く聴くために針先のクリーニングはこまめに行います。ちなみにカートリッジは消耗品です。クリーニングしてもノイズが酷い場合などは盤を痛める前に交換をおすすめします。
スタラス・クリーナーで針先をクリーニングする時は、カンチレバーの根本から針先に向かってブラシを動かします。勢いあまってボディーにつかないように慎重にお願いしますね。カンチレバーを支える部分のゴムが劣化がしやすくなります。
一日の聴きはじめに一度使います。
オーディオテクニカの昔からあるクリーナーを愛用しているのですが、同じものがアマゾンに思っている値段でなかったのでナガオカのクリーナーをリンクしておきます。
瓶の色がこちらの方がきれい。
針先は一番デリケートな箇所なので気を使いますね。レコード盤用の除電ブラシではサイズの違いなど違和感があったので、いろいろと試してみて今はタミヤの模型用の除電ブラシを使っています。
レコードの掛け替えの度に毎回ホコリを取ります。これもカンチレバーの根本から針先に向かってブラシを動かします。
レコードは原理が単純かつ繊細なだけに少しのことで音が変わってきます。他にもプレーヤーの設置方法も非常に重要ですね。また機材のことなども今後ご紹介できればと思います。
まずは普段のお手入れで愛着ある快適なアナログライフをお過ごしください。
メンテナンス道具を置くお盆は福岡の木工作家 山口和宏さんの作品です。