冬の風が吹く12月2日、クリスマスツリーが輝く東京・早稲田スコットホールにて行われた森ゆに&田辺玄“2020”コンサートに音響として参加いたしました。
2023年3月に大阪・島之内教会にて、初めてお披露目となった”2020″。新型ウイルスの猛威に飲み込まれ、全ての時が止まったあのひとときに、山梨のワイン畑にて奏でられた優しい音色たちが、ライブ演奏として目の前で聴くことができたあの喜びを、年末の東京でも体感することができました。
お客様でいっぱいの会場内、玄さんのトーンチャイムの音色を合図に、あちらこちらからトーンチャイムのじんわりと温かく響く音色が鳴り響き、音色に包まれる感覚に。その後、玄さんのあとから静かに会場内に足を踏み入れたゆにさんによる、ティンシャの音色がこれから始まる演奏会へと集中力を高めていきます。
ゆにさんのアカペラにより、演奏会は始まりました。
静かで少しひんやりと肌寒い夜の教会に、ゆにさんの美しい歌声とピアノのあたたかい音、そよ風のように駆け抜ける玄さんのギターの音色がひだまりのように心地よく響き渡ります。それぞれが語り合うように奏で、2人がその掛け合いを楽しんでいる様子が特に印象的でした。
曲間では、ゆにさんによって”2020″のきっかけとなったBEAU PAYSAGEでの岡本さんとのエピソードや、そこから楽曲制作までどのような経緯を辿ったのかなど、物語のように順を追って丁寧にお話されていたことで、より一曲への愛情や理解を深め、”2020″の表現している情景がより鮮明に目に浮かぶような、まるでその景色の中を旅しているかのようなそんな錯覚に陥りました。
コンサートの最後も、始まりと同じくゆにさんのアカペラと玄さんのギターで静かに丁寧に優しい音色で締めくくられました。”2020″が作られた2020年から3年が経ち、今一度大切な人たちを、大切な場所を、大切なものを、大切にしたくなるような、そんなあたたかさに満ち満ちたコンサートだったのでは、と思います。